昨日も、看護師長とお話させて頂いて、「綺麗な勤務表」 という言葉が看護師長からでてきました。 「あの看護師長が作る勤務表は綺麗だったよね..」 、やはり看護師長である妻が坦懐したことを思い出しました。どうも、看護師長の中でも、勤務表作成名人が存在しているようなのです。その人が作る勤務表は、基準の理想パターンが、各スタッフで一日づつずれていって、図形パターンとして、xに近いようようなパターンが現れるらしいのです。
コンピュータの側(ソフトウェア作成)から見ると、綺麗という概念は勿論、制約プログラミングの概念からは、基準パターンというものさえありません。単に制約というフィルタで探索空間から解をろ過するだけです。一方、看護師長達は、長年の経験から、複雑に込み入った勤務表を作り上げる能力を獲得しています。それは、素人の私から見ると、本当に驚嘆すべき能力です。
今日のコンピュータ技術は、勤務表を完全に解けるところまで着ています。完全に解けるとは、解の有無(SAT/UNSAT)を判定できることを言います。 問題の複雑度にもよりますが、大体の問題は、数秒程度で解けます。殆どの問題は、1分以内程度で解けるでしょう。勿論、完全には解けない問題も未だ存在しますが、実用的はかなりの割合で解けるようになってきました。解があるとは、将棋で言えば、詰める手順が分かったようなものです。昨今、コンピュータと人間の対戦でコンピュータが勝利する場面が増えてきましたが、NSP(ナーススケジューリング問題)の探索空間は、10の80乗から10の200乗程度で、解の個数も10の10乗程度(感覚です)は、存在することが分かってきました。このような規模が解けるようになったのは、ハードウェアの進歩(x100)とソフトウェアの進歩(x1000)=x100000 によるものです。将棋ほど、探索空間は大きくないにせよ、それは、数年前までは不可能と思われていました。技術の進歩がこれほど、急速に伸びるとは思われていなかったのは、やはり将棋ソフトと同様の世界です。
昨日の話に戻しますが、スケジュールナースが出力した勤務表の画面には、一部、xパターンが現れていました。師長と画面を眺めながら、xパターンの話を師長はしてくださいました。
人間が美しいと感じるパターンが、実は、究極の制約上の解になっているというのは、偶然なのか偶然でないのかは分かりません。勤務表作成名人は、解の存在は知らなかったことは確かです。数年前までは、*完全には解けませんでしたから。しかし勤務表作成名人は、複雑に込み入った制約のなかでも美しいパターンが究極解に最も近いことを知っていたのです。
*注
”完全には” の意味は、厳密解を指します。近似解の算法は、数年前以前にもありましたが、
厳密解の算出は、この3-4年で可能になりました。
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