2026年5月24日日曜日

看護師必要人数の計算

40床で、18人という計算を示しました。 

https://schedule-nurse.blogspot.com/2026/05/blog-post_20.html

しかし、この計算は、実態と合っていません。実態は、どんなに少なくとも23人、平均的には、24-26人だと思います。

なぜこのような乖離が生まれたかとというと夜勤人数が3人と規定しているからです。この人数は、法的な要請ではなく、現場の要請、その人数がいないと廻せないという切実な事情によるものです。なので、夜勤3人の是非は論じず、この人数を前提として、必要な最低人数を求めてみます。

考え方は、需要側からの人数と供給側の人数のコマ数計算になります。

需要側人数≦供給側人数

需要側人数は、深夜3人、準夜勤3人必要です。これが、毎日、最大31日必要ですから、

    3*31+3*31=186コマ必要です。

一方、看護師が供給できるのは、72時間制限より、深夜+準夜勤=9回までです。夜勤できる看護師数と、コマ数の関係をプロットすると、以下のようになります。

つまり、夜勤スタッフが21名居て、全員が夜勤9回をこなせば、189コマとなり、需要側人数を3コマ上回ります。

同様に、全員が夜勤8回をこなすとすれば、夜勤スタッフが需要を上回るのは、23名では足りず、少なくとも24名以上必要、という計算になります。

通常、夜勤9回Limit一杯まで行うことは少ないと思われるので、8回までとすれば24名ということになりますが、実態は、

■24名の場合、夜勤を9回こなす方がいたり、

■25名以上居る

のではないでしょうか? この理由は、

A■夜勤回数が少ない方がいる

B■そうしないと配置できない

C■急な休みに対する余裕分

ではないかと思います。Aについては、コマ数計算でその夜勤回数で累計すればよいだけなので、その夜勤回数に応じた必要人数も同様に計算できます。

してみると、

コマ数累計計算による必要人数と実態の差の原因

は、Cの余裕分を除外すると、Bのそうしないと配置できない、という答えに行き着くのではないでしょうか?

本当に配置できないのか?スケジュールナースでやってみました。プロジェクトは、以下を修正して、人数を可変してみました。


夜勤9回で許容したとき、確かに21人で解がありました。このとき、コマ数余裕は、3コマですから、3人だけ夜勤8回の方がいるはずです。確かにそのようになっています。

人間では不可能と思われますが、スケジュールナースでは21人しかいなくとも配置が出来ました!

カラクリの種明かし

この結果は、従来の常識からすると非常識の類です。カラクリは、実はこの解、予定が入っていません。


経験によると、上の3交代に限らず、変則2交代においても、ブランク予定であれば、多くの場合、スケジュールナースは、コマ数余裕がほとんどなくても配置ができます。コマ数余裕0が物理限界になります。もちろんチームバランス等の要因により、配置できないこともありますが、ブランク予定であれば、ほぼ物理限界もしくは、近くまで配置が出来ます。(しかし、人力では、やはり無理だろうと思います。どなたか、出来る自信がある方いらっしゃいますか?)

ここまでは読めます。

問題は予定、これが読めない

予定を入れて行きましょう。週末に各2公休追加しました。


問題なく配置できました。


さらに、平日に公休2個追加しました。



かなり苦しいですが、配置できました。看護師パターンにも影響してソフトエラーが多数出現しています。(ブランク予定状態では、ソフトエラーはほとんど出ていませんでした)


今回は、たまたま配置できましたが、例えば入学式の日に休みが集中する、等、月ごとに変わる休みのパターンによる影響は読めません。公休数希望が2個まで、という制約があれば、なんとかなりそうですが、それ以上の予定が入ると、

やってみないと分からない

ことが分かったと思います。例えば、公休希望は5個まで、という職場がありますが、スケジュールナースでも5個全員がランダムに入れられると、容易に解がない事態となります。実は、解が人力解であるのは、

■休日に希望が集中する

■希望を出さない人がいる

ことに助けられているからです。

本当に全員がランダムで規定上限の休みを希望されると、解があることは保証できません。にもかかわらず制度がそれを許している、いわば、砂上の楼閣状態の職場が多いと感じています。ちなみに、この希望休み数上限、職場によって、2個から、3,4,5個、無制限と様々です。

いずれにせよ、何かあった時の余裕分を除外すると、

一番大きな要因は、配置能力

が、看護師人数を決める要素である、と言えます。看護師長さんに聞けば、「人は足りていない」という回答しか返ってこないと思いますが、冷静に、論理的に考えれば、上のような考察にたどり着きます。現状は、人力の配置能力を前提として、看護師リソース問題をマネージメントしている、誰も指摘しませんが、それが一番の勿体ない問題なのです。


予定が入れば入るほど、ナーススケジューリング問題は、難しくなる

これも誰も指摘しませんが、予定が入れば入るほど、ナーススケジューリング問題の難易度は上がります。ブランク予定に比し予定入り解空間は、予定を入れれば入れるほど狭くなります。看護師長さんは、スタッフの予定をハード制約として入れてしまう傾向にあります。人力や性能の低いソルバとの差は、より一層開くと考えられます。


経営資源の観点で見ると

一般的に、スタッフ数の多い職場ほど、人力とスケジュールナース割り当て能力の差は、大きくなります。今ここで言えるのは、50名の職場であれば、1名程度は削減できるであろうという経験的な事実です。50名の職場が10あるとすると、看護師の年収X人数分の効果を生み出す効果があるのではないでしょうか?病院経営で一番大きいのは、どの病院も例外なく看護師人件費です。


物理限界に挑むナーススケジューリング問題に対する標準解法

を発表したいと思い、最後の研究課題に取り組んでいます。

論文は、

■英文で標準解法について

■和文で各社比較による看護師リソースの話し

と、二つ書きたいと思っています。(製品リリース予定は別途)

最適化ソルバは、世界最高のものが一つあれば十分です。各社が、その世界最高のエンジンの提供を受け備えれば、配置能力の性能差の心配はなくなります。性能差のおかげで、理不尽なシフトを強いられたりするのは、まっぱらごめんです。

ナーススケジューリング問題にかかわるシフト従事者の数は、260万人と推定されます。

https://schedule-nurse.blogspot.com/2026/05/blog-post_15.html

ナーススケジューリング問題にかかわるシフト従事者全ての方に、研究成果としてのソルバの恩恵を届けたい、これがスケジュールナースの意図するところであります。


参考文献

AIを論破してみた

https://schedule-nurse.blogspot.com/2026/05/ai.html


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