2026年になっても、未だ色々な方式が提案されています。
<各ベンチマークについての言及がない>
ASPに基づく適応型優先度付き巨大近傍探索の実装とナーススケジューリング問題への適用
JSME-TJ
ナース・スケジューリングの論文、勤務表づくりに使える?|手組みゼロ
不思議なことに、アカデミックかつクラシカルなベンチマークがいくつもあるのに、それらに対しては、言及がありません。この傾向は、日本に限らず海外文献でも同様です。最近の論文流行は、AIを使った当該病棟でのモデル改善ですが、これは、モデリングの改善であって、ソルバ性能の改善ではありません。ソルバは、MIPソルバ、CP-SAT等、既存汎用ソルバ、であってソルバそのものの改善でないことが多いです。いずれにせよ、共通インスタンスでのベンチマークについて言及がないので、実際のところ、どの程度の有効性があるのか分かりません。アカデミックベンチマークは、問題規模が段階的に揃っているので、問題規模に対する有効性の評価も出来ます。日本とEUでは、そもそも働きかたそのものが違うので比較にならない、と考える方もいるかもしれませんが、私は、
組み合わせ最適化能力と問題規模というパラメータのエッセンスは変わらないと考えています。一部で、ナーススケジューリング問題は、最近のMIPソルバで解けるようになった、との指摘があるのですが、私の認識は、全然そんなことはありません。感覚的には、「MIPソルバでは、ほとんど解けない」、に近いです。(試しにINRC2問題をMIPソルバにやらせてみてください。ほとんど解けません。Scheduling Benchmarksについても解けるのはInstance-8/16/17位までです。)
ベンチマーク問題と実務インスタンスで、主に違うのは、ペア制約の有無で、これが、インスタンスをより難しくする方向に作用します。また最近では、同数制約という運用で回避可能なはずの制約まで課されるようになってしまっていますが、これもより難しくする方向に作用します。
いずれにしても、骨格的には、アカデミックベンチマークインスタンスでも間違いはなく、実務ではさらに雑多な制約が入ることで、より難しくなる現実があります。
<まず第一に汎用ナーススケジューリング問題ソルバ>
ソルバが厳密解を容易に求められない以上、言い換えるならソルバ間で優劣差が存在する以上、最善を求めるのは当然ではないでしょうか?皆が同じ土俵上で、優劣差がない状態ならば、それ以上の最善は求められない、すなわち、組み合わせ最適化能力の向上を目指す必要がないことに同意します。しかし、現状は、スケジュールナースDVT版(開発版)から見て、「さらに優劣差が広がっている」、と推察します。
なので、汎用的なナーススケジューリング問題ソルバの開発がまず第一です。そのソルバは、アカデミックベンチマークについてほとんど全てインスタンスの厳密解を出力できることが必要要件です。これにより、基本的なナーススケジューリング問題についての組み合わせ最適化能力は担保されます。
皆さん、基本的ソルバの能力向上の必要性を無視されていますが、この問題に取り組んで十余年、私はづっとその必要性を切に感じていました。サポートをしていて、「これ以上は、物理限界で無理ですよ!」と言いたい場面が多々ありました。
<VRPとの違い>
ナーススケジューリング問題がVRPと異なるのは、管理者の多様な欲求を徒手選択するためのソフト制約にあると思っています。管理者が実現したいと思っている全てを実現出来る訳ではない、何かを取ろうとすれば、何かを捨てざるを得ないトレードオフを提供するところが、VRPと本質的に違うところだと思います。管理者の価値観は、管理者で違うので、職場毎に多種多様な制約、世界に一つしかないその職場にユニークな制約が生じます。しかし、最終的には、トレードオフに至るのが共通の帰結です。人の気持ちに寄り添うのがVRPとの決定的な違いとも言えますが、その結末は、いつもトレードオフになります。その際、管理者に納得してもらうのに必要なキーワードが「物理限界」です。
これ以上良い解はない、「物理限界です」という言い切りが出来ることが、管理者に納得して頂く最強で最終の切り札になります。その意味で、クローズドインスタンス環境にしても、物理限界、そして物理限界にどこまで近づけたかの指標であるLB-UB Gap位は、言及して頂けたら、と思います。大抵の場合、LB-UB GAPはゼロではないはずです。
物理限界に挑むナーススケジューリング問題に対する標準解法
https://schedule-nurse.blogspot.com/2026/05/blog-post_24.html
さらに、これを市井の様々なナーススケジューリング問題に適用させようということになると、汎用的フレームワークを再設計する必要があり、現在実装中、という訳です。
史上最大規模のナーススケジューリング問題が解けた、と言っても実務で遭遇するプロジェクトの厳密解がただちに求まる、ということではありません。依然として、何割かのプロジェクトの厳密解を求めることは難しいのでは?と感じています。それ位、実務で扱っている現実のナーススケジューリング問題を厳密に解くことは難しいものなのです。
<次にモデリング>
ソルバの改良が終わったのち、次に行うべきは、日本語指示によるモデリング方法の開発です。昨今、AIが特段に進化したので、それを利用します。問題は、そのモデリングが適切かどうかは、管理者が解を見ないと分からないので、GUIと連携しながら修正を加えていくスタイルが必須と考えています。プロジェクト作成サービスで、私が行っていることの代わりが出来ることが、究極の目標です。
<まとめ>
アカデミックベンチマークで性能を担保し、なおかつ日本語による指示モデリングで市井のナーススケジューリングの現場の諸問題をモデリングできるようにする、2段構えが究極のソルバである、と考えています。